こどもホスピス
Children’s Hospice
—小児ホスピスにおける活用事例—
Lilla Erstagårdens barn- och ungdomshospice
【2020年調査】
【看護師: Pernilla Lysanderさんへのインタビューより】
小児ホスピスは小児がん等の理由で人生の末期にある子供たちを緩和ケアする目的で設立された施設である。今回訪問したLilla Erstagårdens barn- och ungdomshospiceはErsta Diakoniという非営利団体によって運営されている。
エントランスでは大きな船をモチーフとした遊具が出迎えてくれる。施設全体に子どもたちが楽しめるようなデザインが溢れ、まるで大型の児童館のような印象を受けた。
このホスピスにはスヌーズレンルームの定番の環境設定であるホワイトルームがある。ホワイトルームでよく見かけるバブルチューブ(水の入った光る大きな筒)などの機器に加え、程よい暖かさのあるウォーターベッド、マッサージチェアなどが置かれていた。
このホスピスにホワイトルームを導入した理由について、看護師のPernillaさんは、「人生の終わりが近づいてくると患者さんは徐々に視覚や聴覚などの感覚を失っていきます。その時に残された感覚で子どもたちが最後まで楽しむこともできる部屋です。この部屋のサイドグロウ(2mほどある光ファイバーの束)を握りながら亡くなった子もいました。」と、話す。
日本において、ホワイトルームはカームダウンするための環境であるというイメージが浸透しているが、実際にはこのように感覚を失っていく子どもの感覚を逆に呼び覚ますことにも活用でき、対象児が異なれば活用の意図も正反対になるということが分かった。
また、このホスピスには「Sensory Bath(お風呂のSensory room)」があるとのことで見学をした。一見したところ、バブルチューブや簡単なライトが置かれたシンプルな環境で、「Sensory Bath」と呼べるほどのものだと感じなかったが、Pernillaさんの話を聞いていくうちにスヌーズレンルームとして機能していることが判明した。 刺激の選択肢としては限られているものの、スタッフは1人1人の子どもたちに「音楽はかけたいか、バブルチューブ(スヌーズレンルームでよく用いられる光と泡が出る大きな筒)は電気をつけるか、誰と入りたいか、外の景色は見たいか」と、お風呂に入る前に細かく尋ね、子どもの要望に合わせて活用されていたのである。このような職員さんの姿勢から、このお風呂もまた立派にスヌーズレンルームとしての役割を果たしていた。
私たちの活動より
2021年11月、日本で2番目、関東では初となるこどもホスピスのお風呂にスヌーズレン環境の導入及びそこで流す映像・音楽を制作しました。
こどもたちは楽しく、大人は癒されるということをテーマにしています。
カラー照明と映像・音楽のさまざまな組み合わせをこどもたちが選択することができます。